若楓寝入りて開く赤子の手 山崎カツ子
ちいさな五本指
入梅の何回も振る塩の瓶 金田葉子
最終手段は爪楊枝
一日の悔いをハンカチたたみけり 亀田浩代
独り言ちながら
初夏やハイブリッドの路線バス サトウイリコ
涼しげなボディー
出刃二本連打連打の鯵タタキ 荒木きんたろう
ねばりの出る前に
茅の輪抜け見知らぬ人とハイタッチ 津田明光
祓い終えた同志
紫陽花の寺を彩る傘の列 船橋貞夫
紫陽花は紫一色
卯の花や宿坊に無き電子音 渡辺伊世子
たまにはデジタル断ち
病室のベッドに慣れて梅雨晴間 岩田織人
退院までもう少し
装幀の白く仕上がる卯月かな 木村洋平
帯まで白く
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装幀の白く仕上がる卯月かな 木村洋平
卯の花のような白を自著の装幀に選ばれた洋平さん。
さながら白無垢で我が娘を嫁がせる親の心境とも。
まずはともあれ、おめでとうございます。
ありがとうございます。実は、これは自著ではなく、編集の仕事で手がける本です。編集者はとかく内容にこまかく手を入れますが、装幀が決まるときは、すっと背筋が伸びる心地がします。