夜の雪明朝までの雪の嵩 井村 美智子
今年の豪雪
早春やハレの号外たてつづき 植村文彦
メダルラッシュ
江ノ電の日永鎌倉ものがたり 村上博幸
平均時速は20キロ
受験子や門に入るまで母の声 髙橋純子
最後の応援
針供養はじめ端より刺すひとも 大津 浩
後の人を考えるべし
からころと卒塔婆鳴れり春の風 金田葉子
鬼太郎の下駄の音も
春風に将軍鎧脱ぎ始む 荒木きんたろう
北風と太陽
立ち上る陶土に力春近し 及川紀子
ろくろ挽き
春愁や土偶のもてる臍の孔 山崎公侍
縄文時代
紅梅のくれなゐ灯る女坂 高久靖人
白梅照らす男坂
今朝の雪はねて一日始まりぬ 長岐照女
北海道美瑛の作者
春の日や俎板へこむほどの幸 松浦券月
春のごほうび
紅梅に緋の傘開き海蔵寺 市川道雄
鎌倉の谷戸どんづまり
福引や無欲念ずる欲の出づ 浦野和子
人間だもの
友来たり畑の端の蕗の薹 金子まさや
また楽しからずや
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からころと卒塔婆鳴れり春の風 金田葉子
よい音がするのは、
お彼岸に新しくしてもらった卒塔婆だからでしょうか。
植村文彦様 コメントありがとうございます。
今頃でしたら、そんな解釈もおもしろいですね。
二月の初め、たまたま迷い込んだ路地の奥から竹の楽器?のような音がして、
近づいてみると大きな墓地の裏でした。
この時期の前橋では西からの強い季節風が何もかもからっからに乾かしてしまいます。お肌にも大敵な上州の春の風物詩です。
立ち上る陶土に力春近し 及川紀子
陶芸に旬の季節があるとすれば、凍える土の手触りが緩み始める頃。
「立ち上る陶土」と言い切ったところに、作家の無上の喜びを感じます。
友来たり畑の端の蕗の薹 金子まさや
たぶん遠来のご友人を「ちょうど蕗の薹が出て来たんだよ」と、広い金子ふぁ~むの端まで案内されたのでしょう。天ぷらにしたり蕗味噌にしたり、ほろ苦い春の味と香りを楽しみながらお酒を酌み交わす。春の訪れと人の訪れ相まって、至福のひと時ですね。