川幅を余さず使ひ雪解川        井村 美智子

澄み切った冷水がなみなみと

綿あめへ行列長き花見かな       大津 浩

子とともに順番を待つお父さん

半年の翻訳を終ふ春の雷        村上 博幸

春雷の一撃が終止符。長い冬も終わった。

カーネーション白きは隅に売られをり  福士 あき子

母を偲んで買っていく人も

草萌や艇庫に並ぶペンキ缶       及川 紀子

春到来の化粧直し

み仏を倒さぬやうに甘茶かく       金田葉子

あまりに小さなお釈迦さま

墨糸を打てば生木のはじきけり     谷島 展子

長い時を経て木材となる

引き波の砂へふた身のさくら貝     渡辺 伊世子

大抵は片身

紅を挿す舞妓幼し春の雨           岩田 織人

新人の舞妓に許されるのは下唇だけ

春愁や推して敲いて筆を置く      木村 洋平

推敲をやり切った

蝶の舞ひ二拍子五拍子三拍子      荒木 きんたろう

強弱強弱中強弱弱強弱弱

春雨に電線濡るる栗鼠の道       浦野 和子

都会に大繁殖。よく滑らないな

虎杖をぽうんと折りて誰もゐず     十川 たかし

大きな音がするのです

また一言多きと思ふ木瓜の花      サトウイリコ

木瓜は主張しない花。 反省

河原のボート干し場や春霞       石原 敬史

貸しボート裏返されて黄の並ぶ

2015年アーカイブへ  2016年のアーカイブへ  2017年のアーカイブへ